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3.就労支援の前に考えておきたいこと

ひきこもり者は就労意欲がないのでは、とよく言われているが、果たしてそうであろうか。私はこれまで多くのひきこもり体験者や支援者、保護者の声を聞いて きた。それによればひきこもり者は働く意欲がないのではなく、働く為に必要な「心の整理(準備)」ができないのと、働くために必要な対人関係の力が不安に おおわれて働かなくなっているのではないかと思っているのです。

「働けない」若者たち
ニートに詳しい東大の玄田有史さんは、働かないのではなく、多くは人付き合いへの不安なので、希望を失った「働けない状態」だと言っています。では、ひき こもり状態の人に今どんな支援が必要かと言えば、仕事を見つけてくることでもなく、強引に社会に連れ出すことではありません。膨大な対人不安をどのように 軽くしてやるかということです。こういうと簡単なようですが、これが厄介なのです。

キーパーソンとの出会い
不安を軽くしていくに家族が心を楽にするような努力をしていくことはもちろん大切ですが、それ以上に大切なことは家族以外の第三者(本人にとって信頼のお ける人)によって気持ちを楽にしてもらうこと体験を重ねることです。それは叔父さんでも叔母さんでもいいし、もちろんかつての友達でもいい。体面できなけ れば手紙でもいい。このキーパーソンの存在が決定的に大切です。家族以外の第三者です。
家族というものは、全てを知り尽くしています。そしてひきこもりの我が子に膨大な願いを持っています。だからどうしても言葉の端々に意図やメッセージが 入ってしまうのです。これがひきこもり者から見れば堪えられないのです。したがって第三者のキーパーソンならば、先入観なしに対応ができ、必要以上に社会 や人への恐怖や不安をあおりたてるメッセージは出さないのです。したがってひきこもり者の心に寄り添って、ひきこもり者の心をほぐすことができるのです。 そのうえ、ひきこもり者は社会を感じ、人の生きざまを感じ、徐々に心の緊張をほぐしていくのです。

そして社会参加へ
こうした体験が安定的になっていくと、この人と共に外の世界を体験することも可能になります。そしてその人の周りの人と接触も可能となるのです。すなわち 他者との対人関係が少しずつ持てるようになるのです。こうして少しずつ他者と共に生活ができ、コミュニケーションが持てるようになれば、ひきこもり者の居 場所に行くことも、場合によっては、可能になります。そうすれば同じ仲間とのふれあいができ、対人関係の力も育ち、自分に対して自信も生まれていくので す。
このように一人のキーパーソンとの出会いから、徐々に人や社会とのふれあいが生まれ、不安を軽減し、居場所で仲間とのふれ合いで、ようやく「働いてみようかな」という心の準備が出来ていくのです。急がないことが何より大切です。

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